悪夢の冷蔵庫
中原昌也
冷蔵庫出てくる映画?何かあったっけ?まあとりあえず最初に思い出すのはサム・ペキンパーの『バイオレント・サタデー』(リチャード・フライシャーの作品とゴッチャになる邦題)ですかね。ルトガー・ハウワーのおウチのワンちゃんが惨殺、と思ったらフェイクだったという、間違いなく70年代だったら実際に犬殺しててもおかしくないシーンが、謎の配慮で実は死んでもいなかったというのでズッコケる。いや、それは確かにたかが映画で犬が死んで欲しくないのも確かだ。これに似た事情でワニに子犬が喰われる『悪魔の沼』を詫びるように、同じく人喰いワニが大暴れする後年の『レプテリア』で子犬が助かるというトビー・フーパーのことを思い出す…って篠崎誠監督が書いてそう(『バイオレント・サタデー』Blu-rayのライナーなんかで、って実際持ってるけど、怖くて確認できない)なネタで恐縮。
それ以外だと『レクイエム・フォー・ドリーム』かな。というかこの映画自体、あんまり覚えてない。なんか悪夢の中の消費社会の象徴で出てきたような…いやダイエット中故の悪夢なのか、とんと思い出せない。
個人的に一番ピンとくるのは、大して我が国では紹介されたことのないイタリア人監督のマリオ・ランディという方がいて、その人の作品で''Giallo a Venezia''というのがあって、そこでマリアンジェラ・ジョルダーノという、我が国で唯一紹介されているのが『ゾンビ3』で、『ブリキの太鼓』の主役みたいな子供(ではなく大の大人が演じている)にオッパイを喰われるという女優がいらっしゃって、その人がバラバラにされて冷蔵庫に収納されている、というショックシーンがあった。ランディ監督は''Patrick vive ancora''というオーストラリア映画の『パトリック』の勝手に作った続編でも女性器から串刺しという残虐シーンをマリアンジェラで撮っていて、これもまあ大概にして、というシーンではあったものの、この冷蔵庫のシーンのインパクトは相当なもの。日本だと松尾嘉代と連想してしまうお色気女優なんだが、割と僕はエロい意味でもなく好きで、他の作品も観てみた。
せいぜい冷蔵庫と映画という話はこんなところ。個人的には一人暮らしのために、ラブホに置いてあるような、冷凍庫のないような安いのしか買った経験がなく、後は同棲でツレが誰かからもらってきたとか、その程度の付き合いしかない。この程度しか書けず、スミマセン…。
中原昌也
ミュージシャン/作家