決まってそれは、秋のおわりか、冬のはじめ。父は安く買ってきたサツマイモをアルミホイルにくるみ、さらに上から新聞紙でくるむと、庭にあるコンクリートのブロックで簡単に囲っただけの手製の炉に放り込んだ。火を付けてしばらく待ち、サツマイモを取り出す。アルミホイルをはがせば、濃い紫色のそれは、蒸気を盛んに立てて、軍手をした父がふたつに割ると、黄色い芋の中身が現れ、熱く甘い臭気が、冷たい外気に溶けてゆく。
還る味
最近食べた料理は再現できても子どもの頃に何気なく食べていた料理は意外と難しい。恐らくどのように作られていたか意識していなかったから。
じゃがいもはすごい
小さい頃、マクドナルドのポテトフライが好きで、週末になるとよく家族で昼ごはんに近所の店で買ってきて食べた。ポテトフライが好きだったのか、ハッピーセットのおもちゃが欲しかっただけなのかは分からないが、三つ子の魂百までというか、成長してもずっと週末のお昼といえばマクドナルドになってしまい、それは高校生でマクドナルドでアルバイトをしている間に油の匂いに耐えられなくなって食べたくなくなるまで続いた。
いも時間
「いも」というテーマを思いついてから、「いも」と言うだけで気持ちがほっこりして、何て良い響きなのだろうと惚れ惚れしていた。「い」の後の、「も」のもったりした響きが、恐らく私をにやつかせてる。しかもそれを12月の年終わり、こぞってテーマに祭り上げるところまでが私のささやかな企てで、意外にもピッタリな気がしている。